自分にあった働き方ができることの大切さ

高知県で有名な土佐和牛「土佐あかうし」。
海のイメージが強い室戸市ですが実は山地も多く、この「土佐あかうし」の畜産も行われています。

今回ご紹介するのは室戸市で畜産業を営む松本拓也(まつもとたくや)さん、高知県高知市出身の30歳です。
松本さんは学生時代に東京の大学に進学し、卒業後は就職して会社員として沖縄で過ごします。
順風満帆に思えた社会人生活でしたが、大学生時代とは違い、思うように能力を発揮できず、徐々に自信をなくしていきました。
このままではいけないと心機一転、興味のあった畜産業を北海道で学んだのち、出身地である高知県の研修制度を利用し、24歳の時に室戸市へ移住しました。
室戸市は祖父母が暮らしている場所で縁あり、目指していた山地放牧ができる数少ない場所だったことなどが移住の決め手になったそうです。

Q.室戸に移住してきて良かったことは何ですか?

新規就農者で移住者、見ず知らずの僕に対して自由にさせてくれたことです。
牧場も継がせてくれたし、牛舎も継がせてくれた。
畑も「お~やれやれ!」と貸してくれるし、家やトラクターも世話してくれたんです。
みんなが自分のことを大事にしてくれる。
地方移住で人間関係に苦労する話とか、たまに聞いたりしますが僕はとても恵まれていると思います。
美味しい食べ物や豊かな自然よりも、そういった人との繫がりが僕にとってはずっと良かったと思えることです。

Q.移住してきて生活で困ったことは何かありますか?

大きな病院がないことですね。
それ以外はありません。
僕はもともと、どこでも暮らしていけるタイプだし、外の環境のことはあまり気にならないです。

Q.移住する前に調べておいた方がいいことはありますか?

「そのまちで、自分のやりたいことができるか」
移住して自分が本当にやりたいことができないとモチベーションが下がると思うんです。
その場所が気に入ったから何となく働く…というような仕事はありません。
自分のやりたいことができる道筋が、ある程度あって必死で取り組める情熱があるのか。
そこはしっかり調べた方がいいと思います。

Q.移住して生活面はどう変わりましたか?

会社員時代に比べると職種が全く違うので、朝は早く日が暮れたら終わりの生活に変わりました。
遊びに行ったりすることも減ったし、付き合いで行く飲み会もなくなりましたね。

 

一人で黙々とできるような仕事が好きだと話してくれた松本さんは、手間がかかっても自分で計画を立て、そのサイクルが上手く回りだしたときの達成感が楽しいんだそう。
現在は畜産農家としても順調で土佐あかうしの数も着々と増えています。
移住して6年経った今でも “させてもらってる” という感謝の気持ちを込めて話す姿を見て、こういう松本さんだからこそ地域の人たちに愛されるような気がしました。

【松本さんからメッセージ】

室戸市は、移住してきた人が主役になれる可能性が高い場所だと思います。
自分のような畜産農家や新規就農者は日本中にいます。
それでもTVや取材に来てくれるのは人の少ない室戸市だから。
そういう環境でスタートさせたという事が注目されるし応援してもらえる。
30年くらいしたら我々が室戸を動かすくらいの気持ちを持てるのは楽しいし、やりたいことがあるならチャンスは転がっています。
伸び伸びと輝くことができますよ!!

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